この記事では、65歳以上の年金受給者の方を対象に介護保険料の計算方法についてご紹介させていただきます。
下記の計算サンプルを例に「夫、妻それぞれの介護保険料」を計算しましたので、介護保険料を把握しておきたい。という方は良かったら参考にしてみてください。
(計算サンプル)
夫(68歳)、妻(66歳)の2人世帯。
- 夫の年金収入(厚生年金+国民年金):230万円
- 妻の年金収入(国民年金):60万円
※夫・妻ともに年金収入のみ。
介護保険料は、世帯単位ではなく一人ひとり支払うので、夫・妻それぞれの保険料を算出します。
ちなみに、65歳以上の介護保険料は、原則年金からの天引きとなります。
目次
65歳以上の介護保険料の仕組み
65歳以上の介護保険料は、お住まいの市区町村ごとに「所得による保険料段階」が決められていて、「世帯の住民税課税状況」と「本人の所得」でどの段階に該当するかが決まります。そしてその段階に応じた介護保険料を支払います。
(例)東京都新宿区の「所得による保険料段階」
※新宿区ホームページより引用
介護保険料の計算手順
65歳以上(年金受給者)の方の介護保険料は、以下の順で計算していきます。
①お住まいの市区町村の「所得による保険料段階」を確認する。
↓
②住民税の課税・非課税を確認する。
↓
③収入・所得を計算する。
↓
④該当する保険料を確認する。
それでは、次の計算サンプルを例に①~④について詳しく確認していきましょう。
(計算サンプル)
夫(68歳)、妻(66歳)の2人世帯。
- 夫の年金収入(厚生年金+国民年金):230万円
- 妻の年金収入(国民年金):60万円
※夫・妻ともに年金収入のみ。
介護保険料は、世帯単位ではなく一人ひとり支払うので、夫・妻それぞれの保険料を算出します。
手順①お住まいの市区町村の「所得による保険料段階」を確認する。
介護保険料は市区町村ごとに違うので、まずは自分の住んでいる市区町村の「所得による保険料段階」を確認しましょう。グーグルかヤフーで「お住まいの市区町村名 介護保険料」と検索してみてください。ここでは、東京都新宿区を例に検索してみますので、ご自身のお住まいの市区町村で同じように検索してみて下さい。
(例)「新宿区 介護保険料」と検索してみる。
たいていの市区町村で、検索結果の最初のページに該当ページが表示されると思うので、それをクリックしてみましょう。
すると、お住まいの市区町村の介護保険のページが表示されるので、そこで「65歳以上の人」という項目を見てみて下さい。そこに「所得による保険料段階」が掲載されていると思います。
※新宿区ホームページより引用
これで自分の住んでいる市区町村の「所得による保険料段階」がわかったので、次に住民税の課税・非課税を確認します。
手順②住民税の課税・非課税を確認する。
65歳以上の介護保険料は、ほとんどの市区町村で、住民税の課税・非課税で段階分けされています。自分が次の3つのどれに該当するか確認しましょう。
- 世帯全員が住民税非課税
- 本人が住民税非課税で、世帯の誰かが住民税課税
- 本人が住民税課税
今回の計算サンプルでは、以下に該当します。
夫:本人が住民税課税
妻:本人が住民税非課税で、世帯の誰かが住民税課税
世帯とは?
介護保険料を計算する際の「世帯」は住民票の世帯です。例えば、親世帯と子世帯が同居していて、親が子の税金上の扶養に入っていたとしても、住民票が別世帯であれば親世帯だけで計算してください。
手順③収入・所得を計算する。
続いて、自分の収入・所得の計算ですが、
- 本人が住民税課税
- 「世帯全員が住民税が非課税」または「本人が住民税非課税で世帯の誰かが住民税課税」
この2つのどちらに該当するかで計算方法が違うので、分けてご説明させていただきます。
「本人が住民税課税者」の場合
本人が住民税課税者の場合は、本人の合計所得金額を計算します。今回の計算サンプルでは、夫が住民税課税者なので、夫の合計所得金額を例に計算を行います。
夫は公的年金収入のみなので、合計所得金額=公的年金等に係る雑所得となります。
年金収入を以下の表に当てはめて、「公的年金等に係る雑所得」を計算します。
※国税庁ホームページより引用
夫の年金収入230万円-110万円
=120万円
夫の合計所得金額は120万円
「世帯全員が住民税が非課税」または「本人が住民税非課税で世帯の誰かが住民税課税」の場合
「世帯全員が住民税が非課税」または「本人が住民税非課税で世帯の誰かが住民税課税」の場合は、本人の「課税年金収入金額」+「その他の合計所得金額」を計算します。今回の計算サンプルでは、妻が「本人が住民税非課税で世帯の誰かが住民税課税」に該当するので、妻を例に計算を行います。
「課税年金収入金額」を計算
「課税年金収入金額」とは、国民年金・厚生年金・共済年金等の課税対象の年金収入金額です。課税対象にならない障害年金・遺族年金・老齢福祉年金等は「課税年金収入金額」には含まれないのでご注意ください。※「課税年金収入金額」は市区町村によって名称が異なります。「課税年金収入額」と記載されているケースも多いです。
計算サンプルの妻の収入は国民年金60万円のみなので、「課税年金収入金額」は60万円。
妻の「課税年金収入金額」=60万円
「その他の合計所得金額」を計算
「その他の合計所得金額」とは、「課税年金収入金額」を除いた合計所得金額です。
計算サンプルの妻の収入は国民年金60万円のみなので、「その他合計所得金額」=0円
手順④該当する保険料を確認する。
最後に、手順③で計算した収入・所得を、お住まいの市区町村の「所得による保険料段階」に当てはめて保険料を確認しましょう。
※当記事の計算サンプルは東京都新宿区の「所得による保険料段階」を使用しています。実際はお住まいの市区町村のものをご参照ください。
サンプル:夫の介護保険料
住民税:課税
合計所得金額:120万円
上記の条件を「所得による保険料段階」に当てはめると、「第6段階」に該当するので、介護保険料:(年額)84,480円、(月額)7,040円。という結果になりました。
【夫の介護保険料】
年額:84,480円(月額:7,040円)
保険料の段階は第6段階。
計算サンプル:妻の介護保険料
住民税:本人が住民税非課税で世帯員が住民税課税
課税年金収入金額+その他の合計所得金額:60万円
上記の条件を「所得による保険料段階」に当てはめると、「第4段階」に該当するので、介護保険料:(年額)61,440円、(月額)5,120円。という結果になりました。
【妻の介護保険料】
年額:61,440円(月額:5,120円)
保険料の段階は第4段階。
終わりに
お疲れ様でした、以上が65歳以上の介護保険料の計算方法となります。
65歳以上の保険料
65歳以上の方の保険料は、
- 国民健康保険料(または、社会保険料)
- 介護保険料
この2つがかかります。そして、国民健康保険料と介護保険料は原則年金からの天引きです。
こちらの記事で、65歳以上の年金受給者の方を対象とした国民健康保険料の計算方法をまとめましたので合わせてご参照ください。
(単身者の国民健康保険料)
■65歳以上(年金受給者)の国民健康保険料はいくら?計算方法を確認
(ご夫婦の国民健康保険料)
■65歳以上(年金受給者)夫婦2人の場合の国民健康保険料はいくら?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。