執筆・監修:尾形社会保険労務士・FP事務所
この記事では、「年金受給額が400万以下」であれば確定申告は不要!といわれる理由と、確定申告しなかった場合、損することはないのか?また、住民税についてはどうなるのか?など、年金受給者の確定申告について詳しくご紹介させていただきます。
本当に確定申告しなくても損しないのでしょうか??
なぜ年金400万円以下なら確定申告は不要なの?
なぜ、「年金受給額が400万円以下だと確定申告は不要(いらない)。」と言われているのか?というと、単純に平成23年に創設された制度(確定申告不要制度)で国が認めたからなんです。正確に言うと、下記の条件に当てはまれば、確定申告しなくていいよ~と平成23年以降はなりました。
【確定申告不要制度の条件】
■公的年金等の収入が400万円以下で、かつその他の所得が20万円以下
※個人年金は公的年金等には含まれません。
この確定申告不要制度は「年金受給者の確定申告の手間を省く」という目的で作られたのですが…税金を払いすぎている場合はどうなるのでしょうか?ちなみに私の両親は年金から所得税を天引きされているのですが。。。
確定申告しないと払いすぎた税金はどうなるの?
結論から言うと、確定申告しないと、年金から引かれた税金は戻ってきません。政府広報オンラインによると「所得税及び復興特別所得税の還付を受けるためには確定申告が必要」としっかりと記載されています。
また、生命保険料控除や医療費控除なども確定申告しないと受けることが出来ないので、もし確定申告すべきか?迷われている場合は、次の記事を参考にしてみてください。
■あなたの年金、確定申告は必要?不要?した方が得するのはこんな人!
確定申告をしないと住民税はどうなる?
あと一つ気になるのが住民税。
確定申告を行わないということは、収入の状況を市区町村が把握できないわけですから、住民税の金額はどう決まるのでしょうか?
これに関しては、「次の場合は住民税の申告が必要」です。※下記に該当しない方は、何もしなくてもOKです。お住まいの市区町村が年金受給額のデータからあなたの住民税を自動で計算してくれます。
【確定申告が必要なくても、住民税の申告が必要なケース】
①医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除などをうけるとき。※社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除などは、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出していれば、控除されています。
②額にかかわらず、年金以外の所得があるとき
上記にあてはまる方は、どちらにしろ「住民税の申告」が必要になるので、確定申告してしまった方がいいでしょう。申告する手間は同じですし、確定申告しておけば、税務署から市区町村にデータがいくので住民税の申告は必要ありません。
まとめ
- 「公的年金等の収入が400万円以下で、かつその他の所得が20万円以下」であれば、確定申告はしなくても良い。
- ただし、税金を払いすぎていた場合、確定申告しないと戻ってこない(還付されない)。
- 確定申告の必要がなくても住民税の申告は必要なケースがある。その場合は確定申告してしまった方が効率的。
確定申告の書き方でお困りの方は、ケース別に確定申告記入例をまとめた、こちらの記事も是非参考にしてみてください。
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■2023(令和4年分)確定申告書類の書き方・記入例ケース別徹底解説!
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。