【1級FP解説】育休から仕事復帰する日の決め方を社会保険料の観点から紹介

子育て関連

今回は「育休から仕事復帰する日の決め方」を、社会保険料の観点から解説します。また、記事後半では仕事復帰後に時短勤務する人に向けて、復帰後活用すべき2つの社会保険制度を合わせてご紹介しますので良かったら参考にしてみて下さい。

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育休から仕事復帰する日の決め方

※当記事は社会保険料の観点から復帰日の決め方をご紹介していますが、最終的には子どもや保育園の状況なども含めトータルで無理のないよう判断するようにして下さい。

社会保険料の観点からいうと、復帰日は月初がおすすめです。逆に、復帰日が「月末」だと社会保険料で損してしまうので注意しましょう。

理由は、社会保険料の免除期間にあります。

産休・育休中は、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が免除されていますが、いつまで免除してもらえるか?というと「育休の終了予定日の翌日が属する月の前月まで」です。

舌を噛みそうですね。。。とても分かりにくいので具体的に解説します。

復帰日が月初の場合:(例)復帰日が5月1日

復帰日が5月1日の場合を例に考えてみましょう。
※ちなみに社会保険上は、「育休終了予定日の翌日=復帰日」という扱いになります。

5月1日を先ほどの「育休の終了予定日の翌日(=復帰日)が属する月の前月まで」にあてはめると、

「5月1日が属する月の前月まで」⇒「5月の前月まで」⇒「4月まで」となり、社会保険料が免除されるのは4月までです。

つまり、社会保険料は4月分まで免除され、5月分からかかります。

これはいいですよね。5月から働き始めて5月分の社会保険料からかかってくるわけですから特に問題ありません。(※5月分の社会保険料は6月支給の給与から天引きされます。)

次に復帰日が月末の場合を見てみましょう。

復帰日が月末の場合:(例)復帰日4月30日

今度は、復帰日が4月30日の場合を例に考えてみましょう。

4月30日を先ほどの「育休の終了予定日の翌日(=復帰日)が属する月の前月まで」にあてはめると、

「4月30日が属する月の前月まで」⇒「4月の前月まで」⇒「3月まで」となり、社会保険料が免除されるのは3月までです。

つまり、社会保険料は3月分まで免除され、4月分からかかります。

この場合、困ったことに4月は1日(4月30日分)しか働いていないのに、4月分の社会保険料をまるまる1か月分支払わなくてはなりません。社会保険料には日割り計算がないんです!

ちなみに、4月30日が土日祝などの公休日だったとしても同様に4月分の社会保険料はかかるのでご注意ください。

結論

このように、社会保険料の観点からいうと、

復帰日は月初がおすすめで、「月末」だと社会保険料で損してしまう

ということになります。

自治体の復職期限も確認しておこう

多くの自治体では、保育園の入園条件として、保育園入園から仕事復帰までの期限を定めています。この期限を守らないと入園が取り消されてしまうので注意が必要です。

都市部では、「入園日の翌月1日まで」という期限を設定している自治体が多く、復帰日を月初にしても問題ないのですが、中には「入園日と同月内」という自治体もあり、この場合は月末近くに復帰日を設定せざるを得ません。

社会保険料の損得よりも保育園入園が優先ですから、この場合は自治体の復職期限を守るようにしましょう。

仕事復帰後、活用すべき2つの制度

次に、仕事復帰後に活用すべき社会保険の制度を2つご紹介します。特に時短勤務する方は是非活用してください。

会社によってはこの制度を知らない担当者もいますし、原則本人が希望した場合に申請する制度なので、復職する際にこの2つの制度を活用したい旨を会社にしっかり伝えましょう

希望する旨を伝えれば、実際の手続きは会社がやってくれます。

育児休業終了時の標準報酬月額の改定

これは、仕事復帰後の社会保険料を安くするための手続きで、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額を下げることで社会保険料が安くなります。

仕事復帰後に時短勤務する人は、労働時間が以前に比べて短くなるので、当然給料も低くなりますよね。

なので、それに合わせて社会保険料も安くする必要がありますが、この手続きをとらないと、産休前と同じ標準報酬月額で社会保険料を算定することとなり、「給料は低くなったのに、社会保険料の金額は産休前と同じ」ということになってしまうのでご注意ください。

3歳未満の子を養育する期間の標準報酬月額の特例

社会保険の中には、健康保険と厚生年金の2つがあり、この特例は厚生年金に関する特例です。

通常、標準報酬月額が下がり社会保険料が安くなると、将来もらえる年金額もそれに連動して減ってしまいますが、この特例を申請することで、「社会保険料は安くなるが、年金額は減らない」ということが可能になります。

「3歳未満の子を養育する間は時短勤務になるケースが多いため、時短勤務で給与が減っても将来受け取る年金は減らないように配慮しよう。」という制度趣旨になっています。

とてもありがたい制度なので、これも是非活用しましょう。

おわりに

今回は、育休から仕事復帰する日の決め方を社会保険料の観点からご紹介させていただきました。冒頭にも書いたとおり、最終的には子どもや保育園の状況なども含めトータルで判断するようにして下さいね。

それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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・社会保険労務士

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・全国社会保険労務士連合会

・東京都社会保険労務士会

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