執筆・監修:尾形社会保険労務士・FP事務所
パートやアルバイトの方への社会保険適用拡大が進んでいます。
2022年10月~「社会保険加入者が101人以上の事業所」で働いているパート・アルバイトの方は、以下の4つ全てに当てはまると社会保険への加入が必要になりました。※2026年10月からは、さらに51人以上の事業所に拡大します。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が88,000円以上
- 2ヵ月を超えて継続雇用される見込みがある
- 学生でない
今回はこの中で「1週間の所定労働時間が20時間以上」について週20時間の計算方法を詳しく解説します。また、社会保険だけでなく、雇用保険の加入条件も「1週間あたり20時間以上」です。考え方や計算方法も同じなので是非ご活用下さい。
※当記事は「社会保険加入者が101人以上の事業所」で働くパート・アルバイトの方が対象です。それ以外で働くパート・アルバイトの方の社会保険加加入要件は従来通り(正社員の方の3/4)ですのでご注意下さい。
目次
1週間の所定労働時間が20時間以上とは
まず、「所定労働時間」の意味を確認しておきましょう。
所定労働時間とは
「所定労働時間」とは、原則、就業規則や雇用契約書で定められた時間数です。パート・アルバイトの場合、雇用契約書に書かれているケースが多いです。実際に働いた時間ではないので注意しましょう。
例えば、雇用契約書に「午前8:00~午後14:00(休憩12:00~13:00)」と定められていた場合、1日の所定労働時間は「5時間」です。
そして、仮に週5日勤務の契約の方であれば、1日5時間×5日で1週間の所定労働時間は25時間ですよね。よって週20時間以上と判断できます。
このように週の勤務日数が決まっている場合は、シンプルで計算方法も迷うことはありません。
問題は、週の勤務日数が決まっていない場合です。
例えば、1か月ごとにシフトを組むパート・アルバイトは、週によって勤務日数が変わります。この場合、1週間の所定労働時間はどう計算したらよいのでしょうか?
週20時間の計算方法【週の勤務日数が決まっていない場合】
この場合は次の計算式で計算します。
「1週間の所定労働時間」=「1ヵ月の所定労働時間」 × 12 ÷ 52
この計算式を解説すると、まず「1か月の所定労働時間」×12か月で「1年間の所定労働時間」を出します。そして、それを52週(※1年は52週)で割って、「1週間の所定労働時間」を計算します。
実際に計算してみましょう。
(計算例)1日5時間、月16日勤務のパートAさんの場合
「1週間の所定労働時間」
=「1か月の所定労働時間」×12÷52
=「1日5時間×16日」×12÷52
=80時間×12÷52
=18.4615….時間
パートAさんは、1週間の所定労働時間は18.4615….時間。
よって週20時間未満と判断します。
では次に、「月に何時間働くと週20時間以上になるか?」シミュレーションしてみたいと思います。社会保険に加入したくない方は、ここで算出される「月の所定労働時間」未満で働けば社会保険に加入しなくてすむので参考にしてみてください。
月に何時間働くと週20時間以上になる?
結論からいうと月に約「87時間」です。(正確には86時間39分くらいです)
■月に87時間以上働く⇒週20時間以上
■月に86時間以下働く⇒週20時間未満
となります。
なので、社会保険に加入したくないという方は月86時間以下で働くようにしましょう。
以下に計算根拠を書いておきますので気になる方は参考にされてください。
計算根拠
「1週間の所定労働時間」=「1か月の所定労働時間」×12÷52
↓ ↓ ↓
週20時間=「1か月の所定労働時間」×12÷52
↓ ↓ ↓
「1か月の所定労働時間」=週20時間÷12×52=86.666…時間
終わりに
今回は社会保険の適用拡大に伴い、社会保険の加入要件である「週20時間以上」の計算方法をご紹介させていただきました。
ちなみに、社会保険に加入するとどのくらい社会保険料が給与から天引きされてしまうのか?気になる方もいらっしゃると思います。こちらで社会保険料を簡単に確認できるので是非ご活用ください。
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。