【FP解説】扶養130万の壁を超えたらどうなる?ばれるのか?

健康保険

今回は、健康保険上の扶養要件である「130万の壁」を超えた場合どうなってしまうのか?また、はたしてバレてしまう可能性はどのくらいあるのか?専門家の目線から解説させていただきます。

※扶養には「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2種類ありますが、当記事では扶養内でいることのメリットが大きい「健康保険上の扶養、130万の壁」について解説します。

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「130万の壁」を超えるとどうなる?

健康保険上の扶養に入るには、「今後1年間の収入見込みが130万円未満」という条件があります。

これが、一般的に「130万の壁」と呼ばれており、これを超えると健康保険上の扶養から外れ、自分で健康保険に加入しけなればなりません。扶養から外れるのが妻(配偶者)の場合は、同時に厚生年金の扶養からも外れるので自分で年金に加入し、保険料を支払う必要も出てきます。

例えば、月収12万円の妻(40歳)が扶養から外れ、国保に加入した場合に増える保険料の目安は以下のとおりです。
■国民健康保険料:約8,300円/月(約100,000円/年)※東京都新宿区の場合
■国民年金:16,610円/月(199,320円/年)※全国共通
合計:約24,910円/月(約298,920円/年)

また、上記の妻が自分の勤務先の社会保険に加入した場合は以下の保険料がかかります。
■健康保険料:約6870円/月(約82,440円/年)※東京都の場合
■厚生年金保険料:約10,800円/月(約129,600円/年)※東京都の場合
合計:約17,670円/月(約212,040円/年)

比較すると勤務先の社会保険に加入した方が安いですが、そのまま扶養に入っていればかからないお金なので負担は大きいですよね。

たまたま昨年だけ突発的に130万を超えてしまった場合は?

扶養認定の判断は、保険者(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合など)がそれぞれ独自に行うので、一概には断定できません。

ただ、中小企業の多くが加入する「協会けんぽ(全国健康保険協会)」の場合でいうと、このケースであればおそらく扶養から外れる可能性は少ないと思われます。

なぜなら、「昨年だけ130万を超えてしまった」というのは、昨年の1-12月の収入が130万円を超えてしまった。という意味だと思うのですが、これはあくまで税法上の話です。

税法上は毎年1-12月の収入で判断しますが、今回のテーマである健康保険上の扶養は、「今後1年間の収入見込み」で判断するので、原則としては「昨年1-12月の収入が130万円を超えたからNG」という判断はしません。

また、今回のケースだと「たまたま昨年だけ」ということで例年は130万以内なわけですから、このあたりをしっかり説明すれば、扶養から外れる可能性は少ないと思われます。

但し、先ほども書いたとおり扶養認定の判断はあくまで保険者次第です。自分で判断せず必ず保険者に確認するようにして下さい。

健康保険組合の中には、毎年、扶養されている人の給与明細や源泉徴収票などの提出を義務付けているところもあります。そういった健康保険組合の場合は、残念ながら扶養から外れることになるはずです。

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年収は130万円未満だが、月収が108,333円を超えた場合はどうなる?

「130万」がクローズアップされていますが、実は月収で108,333円を超えるとNGなので、扶養内でいるためには月収108,333円以内で働くように注意しましょう。(108,333円は130万円を12か月で割った金額です。)

よくあるケースで「シフトの関係で一月だけ108,333円を超えてしまった!」というような場合は、大目に見てくれる保険者が多いです。これくらいは誰にでもあり得ることですからね。

但し、2か月連続108,333円を超えるとNGや、3ヶ月の平均月収が108,333円を超えるとNGという健康保険組合もあり、扶養認定の基準はやはり保険者次第なので、加入先の保険者に確認するのが一番確実です。

大丈夫かな~と思ったら迷わずすぐ確認しましょう。

通勤交通費も収入に含まれるので注意

年収、月収には通勤交通費も含めて考えて下さい。通勤交通費は、税制上は原則収入に含まないので勘違いしやすいのですが、社会保険上の扶養を判定する際には収入に含めるのでご注意ください。

年収130万円超えたらバレるのか?

結論から言うと、バレる・バレないは、やはり保険者(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合など)次第です

どの保険者も、被扶養者の資格確認を必ず年に1回は行いますが、保険者によってどこまで厳しく確認するかが違うからです。

例えば、協会けんぽの場合、特定要件に該当しなければ、被扶養者の収入確認書類の提出は必要ありません。なので基本は自己申告となります。また、年金事務所に確認したところ「被扶養者の収入をマイナンバーから調査する」ということも今のところはしていないそうです。

一方、資格確認を厳しく行っている健康保険組合の中には、18歳以上で収入のある被扶養者は、全員、源泉徴収票や確定申告書などの提出が義務づけているところもあります。こういった健康保険組合であれば、給与が130万を超えれば源泉徴収票に記載されるので当然バレますよね。

月収108,333円超えたらバレるのか?

月収108,333円超えについては、正直バレる可能性は低いと思われます。

というのも、会社が「誰にいくら支払った」という報告を月単位で行うことはほとんど無いからです。

あるとしたら上記の保険者の資格確認で、直近3ヶ月分の給与明細の提出を求める健康保険組合もあるので、その場合はバレると思ってください。

但し、バレたらペナルティは大きい

但し、バレたときは、月収108,333円超えた月まで遡って取り消される可能性もあります。そうなるとペナルティも大きいです。

  • その間の医療費(保険者負担の7割分)の返還
  • 国保・国民年金の保険料を遡って支払い
  • 夫(配偶者)の会社にかなり迷惑をかける

なので、最低でも2か月連続108,333円超えそうになったら、保険者に連絡して相談するようにしましょう。

2022年10月~社会保険の適用拡大にも注意しよう

2022年10月から社会保険が適用拡大されました。

年収見込が130万円未満の方でも、従業員数101人以上の会社で働いている人は、以下の4つすべて満たすと社会保険への加入が必要です。

■週の所定労働時間が20時間以上
■月額賃金88,000円以上
■2か月を超える雇用見込
■学生ではない

2024年10月以降は、51人以上の会社も、上記の要件で社会保険への加入が必要になります。

つまり、年収見込が130万円未満でも勤務先の従業員数によって社会保険への加入が必要なケースもあるので入社時などに確認しておきましょう。

それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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(保有資格)

・社会保険労務士

・1級FP技能士

・日本FP協会認定CFP


(所属団体)

・全国社会保険労務士連合会

・東京都社会保険労務士会

・日本FP協会(会員番号90326599)


※FPとはファイナンシャルプランナーの略称です。

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