執筆・監修:尾形社会保険労務士・FP事務所
会社を退職したときなど失業状態になったときは、雇用保険の基本手当を申請をする方が多いと思いますが、中には「失業したから一旦実家に戻る(引っ越しする)」という方や「失業手当の受給期間中や待機期間中に引っ越しをすることになった」という方もいると思います。
雇用保険の失業手当は、住所が変更になっても手続きをすれば受給することができます。また、失業手当の受給期間中や待機期間中に引っ越しをする場合でも、引き続き失業手当を受給することができます。
そこで今回は、失業手当の住所変更「申請前に引っ越しをする場合」や「受給期間中・待機期間中に引っ越しをする場合」の手続きについてまとめましたので、良かったら参考にしてみてください。
目次
引っ越し先で(引き続き)失業手当を受給する方法
今回は、以下の①と②のケースについて、それぞれまとめてみました。
①会社を退職後、失業手当の申請をする前に引っ越しが決まっている場合
②失業手当の受給期間中や待機期間中に引っ越しをすることが決まった場合
それでは、順に確認していきましょう。
①会社を退職後、失業手当の申請をする前に引っ越しが決まっている場合
会社を退職後、一旦実家に戻るという方や、他の市区町村に引っ越しをしてから求職活動する方など、既に引っ越しが決まっている場合は、引っ越し後に引っ越し先の住所地を管轄するハローワーク窓口で支給申請をすることができます。
この場合、引っ越し前の住所地を管轄するハローワークの窓口で手続きすることは特にありません。
ただし、引っ越しをするのが1ヶ月以上先になる場合などは、先に今住んでいる住所地を管轄するハローワークで申請の手続きをしておくことをおススメします。(手続きが遅れると支給開始日も遅れるためです。)
引っ越し先のハローワークでは新住所の確認できる書類(住民票や住所変更された免許証など)の提出が求められますので、住民票を移す方は、引っ越し前に忘れず手続きをするようにしてください。
②失業手当の受給期間中や待機期間中に引っ越しをすることが決まった場合
次に、現在、既に失業手当の支給申請を済ませている方や受給期間中や待機期間中に引っ越しが決まった場合は、引っ越しをしたあとも引き続き失業手当を受給するために「住所変更」手続きが必要です。
ここからは、イメージしやすいように例を使ってご説明します。
<例>
現在、A市に住んでいる太郎さんは、失業手当の受給期間中(または待機期間中)にB市に引っ越しをすることになりました。
この場合の手続き内容を確認していきましょう。
【A市のハローワークでやること】
まず、引っ越し前のA市のハローワークで行う手続きは、特にありません。
※但し、引っ越し日の直前や直後に「認定日」を迎える場合は、事前に引っ越し前のハローワーク窓口で確認するようにしてください。
【B市のハローワークでやること】
引っ越し後、B市の管轄するハローワーク窓口で住所変更の手続きを行います。
<手続きに必要なもの>
- 受給資格者住所変更届(窓口に用意されています。)
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書※
- 新住所が確認できる書類(住民票や新住所が記載されている免許証など)
(※失業認定申告書とは、失業の認定日に提出することになっている求職活動の実績を報告する書類です。)
住所変更の手続が完了すると、A市の記録が引き継がれ、B市で引き続き失業手当を受給することができます。
引っ越し後、今までの認定日や支給日は変わるの?
基本的には認定日は変わりません。
但し、「認定しない曜日が決められている」など、各ハローワーク独自の方針もあるので、県をまたぐ引越しなどの場合は、まれに認定日が変更になるケースもあるようです。
おわりに
引っ越し後に失業手当の申請を考えている方は、「受給期間」に注意してください。
失業手当には受給できる期間が、原則「離職した日の翌日から1年間(所定給付日数が330日の方は1年+30日、360日の方は1年+60日)」と決まっています。(※受給期間の延長手続きをしていない場合)
手続きをしないでいると受給できる期間が減り、給付日数も減ってしまうことがありますので、早めに手続きをするようにしてくださいね。
当サイトでは雇用保険の失業手当や再就職手当の受給額を自動計算ツールで簡単に確認できます。是非ご活用下さい。
それでは、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。