年金受給者が、確定申告で最初にしなくてはいけないのが、自分の所得の計算です。
年金は、雑所得に該当しますが、同じ雑所得でも公的年金等(国民年金や厚生年金など)と個人年金では所得の計算方法が違うので、分けて計算する必要があります。
そこで今回は、年金受給者を対象に、公的年金等と個人年金それぞれの雑所得の計算方法をご紹介させていただきます。
お手元に、公的年金等は「公的年金等の源泉徴収票」、個人年金は「保険会社から送られてきた年金の支払調書」をご用意いただき、是非一緒に計算してみてください。
自分の受給している年金の種類を確認
まずは自分のもらっている年金の種類を確認しましょう。
公的年金等
公的年金は本来、国民年金・厚生年金の2種類ですが、公的年金等、つまり等が入ることで企業年金なども、公的年金と同じ扱いになります。公的年金等の種類は以下のとおりです。
【公的年金等の種類】
- 国民年金
- 厚生年金
- 共済年金
- 国民年金基金
- 企業年金(厚生年金基金、確定給付企業年金など)
- 個人型・企業型の確定拠出年金 など
※遺族年金と障害年金は非課税なので、確定申告をする必要はありません。
個人年金
一方、個人年金は、公的年金等以外の年金で、民間の保険会社などと個人契約している年金です。
【個人年金の種類】
- 生命保険契約の年金
- 生命共済契約の年金
- 互助年金
公的年金等の雑所得の計算方法
まずは、公的年金等の収入金額を確認しましょう。「公的年金等の源泉徴収票」の支払金額に記載されているのが収入金額です。※2つ以上の公的年金を受給している人は、すべての源泉徴収票の「支払金額」を合計してください。
そして、この公的年金等のよる収入金額を計算式に当てはめて公的年金等の雑所得を算出します。計算式は、65歳未満と65歳以上で異なるので、ご自身に該当する方をご参照ください。
※「公的年金等の雑所得」の自動計算ツールを作成しました。簡単に計算できるので良かったら使ってください。
65歳未満の方
年金収入を次の表に当てはめて、公的年金等の雑所得を計算します。
年金収入 | 公的年金等の雑所得 |
---|---|
60万円以下 | 0円 |
60万円超~130万円以下 | 年金収入-60万円 |
130万円超~410万円以下 | 年金収入×0.75-275,000円 |
410万円超~770万円以下 | 年金収入×0.85-685,000円 |
770万円超~1,000万円以下 | 年金収入×0.95-1,455,000円 |
1,000万円超 | 年金収入-1,955,000円 |
※この表は公的年金等の雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下の方が対象です。
(例)年金収入が年100万円の場合
上から2番目に該当するので、100万円-60万円=40万円
公的年金の雑所得は40万円
65歳以上の方
年金収入を次の表に当てはめて、公的年金等の雑所得を計算します。
年金収入 | 公的年金等の雑所得 |
---|---|
110万円以下 | 0円 |
110万円超~330万円以下 | 年金収入-110万円 |
330万円超~410万円以下 | 年金収入×0.75-275,000円 |
410万円超~770万円以下 | 年金収入×0.85-685,000円 |
770万円超~1,000万円以下 | 年金収入×0.95-1,455,000円 |
1,000万円超 | 年金収入-1,955,000円 |
※この表は公的年金等の雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下の方が対象です。
(例)年金収入が年240万円の場合
上から2番目に該当するので、240万円-110万円=130万円
公的年金等の雑所得は130万円
個人年金の雑所得の計算方法
個人年金の雑所得は、「1年間に受け取った年金額」から「必要経費」を引いた金額です。
「必要経費」とは、保険会社から送られてきた支払調書に記載されている「年金の支払金額に対応する保険料または掛金額」のことです。
【支払調書】
上記の支払調書でいうと、「差引金額」が個人年金の雑所得となります。
個人年金の雑所得
=1200000円-215000円
=985000円
おわりに
お疲れ様でした。以上、公的年金と個人年金の雑所得の計算方法となります。「公的年金等」と「個人年金」の両方を受給されている場合は、計算方法の違いにご注意くださいね。
続いて、確定申告書類を書いていきましょう。当サイトでは2つのケースに分けて書き方・記入例をご紹介しておりますので、ご自身に近いケースをご参照ください。
(公的年金だけを受給されている方・公的年金を受給しながら働いている方)
■年金と給与収入のある人の確定申告の書き方・記入例を超丁寧に徹底解説!
(公的年金と個人年金を受給されている方)
■公的年金・個人年金を受給している方の確定申告書の書き方・記入例
それでは、今日も最後までお読みいただきありがとうございました。