転職・定年・リストラ・結婚・出産など、年の途中で会社を辞めて、同じ年内に再就職をしない場合、年末調整を行っていないので、ご自身で確定申告をすることで納めすぎた税金が返ってくる可能性が高いです。
そこで今回は、「年の途中で会社を辞めて年末調整していない方」を対象に、確定申告書(第一表・第二表)の書き方と記入例を紹介させていただきます。しっかりと確定申告をして、払いすぎた所得税を取り戻しましょう。
※「退職金も合わせて確定申告を行う」という方は確定申告書の様式が異なるため、こちらの記事をご参照下さい。
■退職金の確定申告:全必要書類(第三表含む)の書き方・記入例を徹底解説
(記入例の設定)
結婚しており、パート(103万円以内)をしている奥さんと、16歳以下の子供が1人いる。去年の8月末で会社を辞め、現在職探し中。前職の給与所得以外の所得なし。
※失業保険は非課税です。申告する必要はありません
目次
準備する書類
次の書類をお手元にご準備下さい。
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- 生命保険料・地震保険料などの支払証明書
- 社会保険料控除証明書
確定申告書
税務署に控えのついた2枚つづりの確定申告書が置いてあるので取りに行きましょう。
2枚つづりではありませんが、こちらからダウンロードして使用することも可能です。⇒確定申告書
源泉徴収票
源泉徴収票は、退職した会社から退職後に受け取る下記の書類です。
生命保険料などの支払証明書
毎年 10月・11月頃に加入している保険会社から送られてくる書類です。
社会保険料控除証明書
退職後に国民年金を支払った場合はこの書類が必要です。通常11月あるいは2月に日本年金機構から送られてきます。
確定申告書 第二表の書き方・記入例
第二表から作成していきますので、第二表をご用意下さい。まずは源泉徴収票から青①②③を第二表の該当箇所に書き写します。
(源泉徴収票)
【確定申告書第二表 記入例】
書き写したら、次に赤枠内を書いていきます。
赤① 住所と氏名・フリガナを記入します。
赤② 所得の種類に「給与」、種目に「給料」、その右となりに勤めていた会社名と記入して下さい。
赤③ 社会保険料(国民年金・国民健康保険など)として支払った金額と、その合計額を記入します。会社を辞めた後に支払った国民年金保険料、国民健康保険料などは、忘れがちなので漏れなく記入するようにしましょう。
また、「うち年末調整等以外」欄には、年末調整や公的年金等の源泉徴収において、この控除の適用を受けていない金額を記入します。今回の記入例は年末調整を受けていないのですべて同じ金額を記入します。
赤④ 生命保険や医療保険などに加入している方は、保険会社から送られてきた「保険料控除証明書」を参照し、加入している保険料の欄に「支払った金額」を記入します。控除額ではなく「支払った金額」ですのでご注意下さい。
※今回の記入例ではありませんが、地震保険料を支払っている人は、該当欄に「支払った金額」を記入してください。
赤⑤ 配偶者や親族の情報(氏名・マイナンバー・続柄・生年月日)を記入します。
確定申告書 第一表の書き方・記入例
続いて、第一表を記入していきましょう。第一表をご準備下さい。
先に源泉徴収票から青①②を下記第一表の該当箇所に書き写してください。
(源泉徴収票)
【第一表 記入例】
赤① 住所・氏名・フリガナ・マイナンバー・性別・世帯主の氏名・世帯主との続柄・生年月日・電話番号を記入します。※去年の1月1日時点の住所が現住所と異なる場合は、去年の1月1日時点も記入します。
生年月日の1つ目の枠(記入例で「3」と記載している部分)は次のとおり記入してください。
明治→1
大正→2
昭和→3
平成→4
赤② 青①の給与収入を下記計算式に当てはめて給与所得を計算し、記入してください。
※「給与所得の自動計算ツール」を作成したので、計算が面倒な方はご利用ください。⇒給与所得の自動計算ツール
赤③ 所得金額の合計を記入します。今回のサンプルは給与所得だけなので赤②をそのまま記入します。他の所得がある人は合計額を記入してください。
赤④ 社会保険料控除額を記入します。第二表赤③の合計額を記入します。
「記入例」
364,680円+62,360円+44,000円=471,040円
赤⑤ 生命保険料控除額を計算して記入します。計算方法はこちらの記事に詳しく書かせていただいたので合わせてご参照ください。
■生命保険料控除の書き方と計算方法。年末調整と確定申告記入例付き
※今回の記入例ではありませんが、地震保険に加入している方は、 地震保険料控除額も計算して記入しましょう。計算方法はこちらの記事に詳しく書かせていただいたので合わせてご参照ください。
■地震保険料控除の書き方と計算方法。年末調整・確定申告の記入例付き
赤⑥ 配偶者控除額を記入するのですが、配偶者の年齢、または配偶者控除・配偶者特別控除どちらに該当するか?で控除額が違うのでこちらの記事にて控除額をご確認ください。
■配偶者(特別)控除の計算方法と書き方。年末調整と確定申告書記入例
赤⑦ 扶養控除は、扶養親族の年齢により控除額が異なるので、こちらの記事で扶養親族の控除額をご確認ください。今回の記入例では扶養親族が16歳未満なので控除額は「0」となります。
■扶養控除:学生の子供や親の控除額は?年末調整・確定申告記入例付き!
赤⑧ 基礎控除額を記入します。基礎控除額は確定申告をする人の合計所得金額により異なり次の表のとおりです。ただ、合計所得金額が2,400万円以下であれば48万円なので、ほとんどの方は48万円になります。
合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
赤⑨ ここまでの所得控除の合計金額を記入します。記入例の場合は④~⑧の合計金額を計算し記入します。
赤⑩ ⑨をそのまま転記します。
※当記事の記入例にはありませんが、雑損控除・医療費控除・寄付金控除に該当する方は、それぞれの控除額を計算し記入してください。
医療費控除・ふるさと納税についてはこちらの記事に詳しく書かせていただきましたので、該当する方は良かったらご参照下さい。
【参考記事】
■医療費控除:確定申告書の書き方と記入例(第一第二表・医療費の明細書)
■確定申告:ふるさと納税(寄付金控除)の書き方を記入例付で徹底解説
赤⑪ 続いて、課税される所得金額を計算します。③から⑩を引いた金額を記入します。※1000円未満は切り捨て
赤⑫ 下記税率表を参考に所得税額を計算します。
【計算式】
「所得税額」=「課税される所得金額」×「税率」-「控除額」
(記入例)
「課税される所得金額(⑪)」は1,238,000円なので、上記票の一番上に該当します。
「所 得税額」=1,238,000円×5%(0.05)-0円
=61,900円
赤⑬ ⑫をそのまま転記します。※住宅ローン控除などがある場合は、 ⑫ から引いた金額をこの欄に記入。
住宅ローン控除については、こちらの記事に詳しく書かせていただきましたので、該当する方は合わせてご参照ください。
第一回:確定申告:住宅借入金等特別控除額の計算明細書の書き方と記入例
第二回:住宅ローン控除(減税)初年度の確定申告書の書き方と記入例を徹底解説
赤⑭ ⑬をそのまま転記します。※災害減免額がある場合は⑬から引いた金額をこの欄に記入。
赤⑮ 復興特別所得税額を計算します。⑭に0.021をかけた金額を記入します。※1円未満の端数は切り捨て。
「記入例」
61,900円×0.021=1,299.9円
1円未満の端数は切り捨てで、1,299円
赤⑯ ⑭と⑮を足した金額を記入します。
「記入例」
61,900円+1,299=63,199円
赤⑰ ⑯から②を引いた金額を記入します。今回の記入例のようにマイナスになった場合は頭に△を付けてください。
「記入例」
63,199-139,320円=-76,121円
ここで計算した金額がプラスになった場合は、追加で税金を納める必要があり、赤⑱にその金額を記入します。マイナスになった場合は、還付金が戻ってくるので、赤⑲にその金額を記入しましょう。
「記入例」
マイナスになったので、赤⑲に76,121円と記入。
76,121円が還付金として戻ってきます!
赤⑲ 還付金の振込み先口座を記入します。
添付書類の確認
【提出が必要な書類一覧】
- 確定申告書(第一表・第二表)
- 生命保険の控除額証明書
- 社会保険料控除証明書
- マイナンバー通知カードのコピー、またはマイナンバーカードのコピー
- 運転免許証などの本人確認書類のコピー
※マイナンバーカードのコピーを添付する場合は必要ありません。
ここでご紹介しているのは、当記事の記入例設定で必要な添付書類となります。状況が異なる場合は、次章でご紹介する「税務署の電話相談センター」にて添付書類のご確認をお願いいたします。
おわりに
書き方がわからないときの対処法
人それぞれ状況が違うので、当記事の記入例だけではわからない部分も出てくるかと思います。その場合は、税務署の電話相談センターで聞くのが一番早いです。
確定申告の書き方でお困りの方は、ケース別に確定申告記入例をまとめた、こちらの記事も是非参考にしてみてください。
↓ ↓ ↓
■2024(令和5年分)確定申告書類の書き方・記入例ケース別徹底解説!
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。