公的年金・個人年金を受給している方の確定申告書の書き方・記入例

年金

この記事では、公的年金と個人年金を受給している方を対象に、確定申告書の書き方と記入例をご紹介させていただきます。公的年金だけを受給しているという方にも参考にしていただける内容となっておりますので、よろしければ是非ご活用下さい。

※年金を受給しながら働いている。という方はこちらの記事をご参照ください。
年金と給与収入のある人の確定申告の書き方・記入例を超丁寧に徹底解説!

※「退職金も合わせて確定申告を行う」という方は確定申告書の様式が異なります。こちらの記事をご参照下さい。
退職金の確定申告:全必要書類(第三表含む)の書き方・記入例を徹底解説

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事前に準備する書類

(記入例の設定)
67歳の佐藤さんは、公的年金と個人年金を受給しています。年金以外の収入はなく、専業主婦の妻(64歳)と二人暮らし。子供はもう独立しているので扶養親族はいません。

(申請する所得控除)

  • 配偶者控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除

次の書類を事前にご準備ください。

  • 確定申告書
  • 公的年金等の源泉徴収票
  • 個人年金の支払調書
  • 生命保険料・地震保険料などの支払証明書

【確定申告書】
こちらからダウンロードできるのでよかったらご使用ください。

確定申告書

※昨年(令和4年分)から申告書Aが廃止され、申告書Bに一本化されました。名称も「申告書」とシンプルになりました。

【公的年金等の源泉徴収票】

毎年1月に送られてきます。

年金の源泉徴収票をなくしてしまった場合は、日本年金機構の連絡して再発行してもらいましょう。⇒日本年金機構:全国の相談窓口

【個人年金の支払調書】
加入している保険会社から年末、または年明けくらいに送られてきます。


【生命保険料などの支払証明書】
毎年 10月・11月頃に加入している保険会社から送られてきます。

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確定申告書 第二表の書き方と記入例

それでは書いていきましょう。まずは、確定申告書の第二表をご用意下さい。

はじめに、「公的年金等の源泉徴収票」と「個人年金の支払調書」から転記できる箇所を先に書き写していきます。

公的年金等の源泉徴収票:緑①②③
個人年金の支払調書:紫①②

を下記の「第二表 記入例」該当部分に書き写しましょう。

※2つ以上の公的年金、個人年金を受給している場合は、全ての源泉徴収票、支払調書分を記入してください。

(公的年金等の源泉徴収票)

(支払調書)


【第二表 記入例】

書き写したら、次に赤枠内を書いていきます。

赤① 住所と氏名・フリガナを記入します。

赤② 公的年金は、所得の種類に「雑」、種目に「年金」、その右となりに年金の支払者である「厚生労働省」と記入して下さい。個人年金は、 所得の種類に「雑」、種目に「個人年金」、その右となりに加入先の保険会社等の名称を記入して下さい。

赤③ 源泉徴収された合計金額を記入します。

「記入例」
52,000円+25,000円
=77,000円

赤④  社会保険料(国民健康保険・介護保険など)として支払った金額と、その合計額を記入します。「うち年末調整等以外」欄には、年末調整や公的年金等の源泉徴収において、この控除の適用を受けていない金額を記入します。

赤⑤  生命保険や医療保険などに加入している方は、保険会社から送られてきた「保険料控除証明書」を参照し、加入している保険料の欄に「支払った金額」を記入します。控除額ではなく「支払った金額」ですのでご注意下さい。 「うち年末調整等以外」欄には、年末調整や公的年金等の源泉徴収において、この控除の適用を受けていない金額を記入します。

【参考記事】
生命保険料控除の書き方と計算方法。年末調整と確定申告記入例付き

赤⑥  地震保険に加入している方は、保険会社から送られてきた「保険料控除証明書」を参照し、加入している保険料の欄に「支払った金額」を記入します。控除額ではなく「支払った金額」ですのでご注意下さい。

【参考記事】
地震保険料控除の書き方と計算方法。年末調整・確定申告の記入例付き

赤⑦  配偶者や親族の情報(氏名・マイナンバー・続柄・生年月日)を記入します。

赤⑧  「自分で納付」に○をつけます。

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確定申告書 第一表の書き方と記入例

続いて、第一表を記入していきましょう。第一表をご準備下さい。

【第一表 記入例】

赤① 住所・氏名・フリガナ・マイナンバー・性別・世帯主の氏名・世帯主との続柄・生年月日・電話番号を記入します。※去年の1月1日時点の住所が現住所と異なる場合は、去年の1月1日時点も記入します。

生年月日の1つ目の枠(記入例で「3」と記載している部分)は次のとおり記入してください。

明治→1
大正→2
昭和→3
平成→4

赤② 公的年金等の源泉徴収票から年金収入を記入します。公的年金等の源泉徴収票の緑①の金額です。2つ以上の公的年金を受給している方はすべての合計額を記入してください。


赤③ 個人年金の収入金額を記入します。「支払調書」の「年金の支払金額」を記入しましょう。

赤④⑤ 年金の雑所得を計算して記入します。「公的年金等」と「個人年金」は雑所得の計算方法が違うので注意が必要です。

公的年金については、以下の自動計算ツールで計算できるのでご使用ください。

【公的年金等の雑所得の自動計算ツール】


※半角で入力して下さい。

こちらに公的年金等の雑所得が表示されます。

個人年金の雑所得は、「1年間に受け取った年金額」から「必要経費」を引いた金額です。

「必要経費」とは、保険会社から送られてきた支払調書に記載されている「年金の支払金額に対応する保険料または掛金額」のことです。

【支払調書】

上記の支払調書でいうと、「差引金額」が個人年金の雑所得となります。

個人年金の雑所得
=1200000円-215000円
=985000円

赤⑥  ④⑤ の合計額を記入します。

赤⑦ 今回のサンプルでは配当所得・一時所得は無いので、をそのまま記入します。

赤⑧ 社会保険料控除額を記入します。第二表赤④の合計から転記してください。

赤⑨  生命保険料控除額を計算して記入します。計算方法はこちらの記事に詳しく書かせていただいたので合わせてご参照ください。
生命保険料控除の書き方と計算方法。年末調整と確定申告記入例付き

赤⑩  地震保険料控除額を計算して記入します。計算方法はこちらの記事に詳しく書かせていただいたので合わせてご参照ください。
地震保険料控除の書き方と計算方法。年末調整・確定申告の記入例付き

赤⑪ 配偶者控除額を記入するのですが、配偶者の年齢、または配偶者控除・配偶者特別控除どちらに該当するか?で控除額が違うのでこちらの記事にて控除額をご確認ください。
配偶者(特別)控除の計算方法と書き方。年末調整と確定申告書記入例

赤⑫ 基礎控除額を記入します。基礎控除額は確定申告をする人の合計所得金額により異なり次の表のとおりです。ただ、合計所得金額が2,400万円以下であれば48万円なので、ほとんどの方は48万円になります。

合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超~2,450万円以下 32万円
2,450万円超~2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

扶養親族がいらっしゃる場合は、扶養親族の年齢により控除額が異なるので、こちらの記事で扶養親族の控除額をご確認ください。
扶養控除:学生の子供や親の控除額は?年末調整・確定申告記入例付き!

赤⑬ ここまでの所得控除の合計金額を記入します。記入例の場合は⑧~⑫の合計金額を計算し記入します。

赤⑭ をそのまま転記します。

※当記事の記入例にはありませんが、雑損控除・医療費控除・寄付金控除に該当する方は、それぞれの控除額を計算し記入してください。

医療費控除・ふるさと納税についてはこちらの記事に詳しく書かせていただきましたので、該当する方は良かったらご参照下さい。

【参考記事】
医療費控除:確定申告書の書き方と記入例(第一第二表・医療費の明細書)
確定申告:ふるさと納税(寄付金控除)の書き方を記入例付で徹底解説

赤⑮  続いて、課税される所得金額を計算します。からを引いた金額を記入します。※1000円未満は切り捨て

 下記税率表を参考に所得税額を計算します。

【計算式】
「所得税額」=「課税される所得金額」×「税率」-「控除額」

(記入例)
「課税される所得金額()」は1,025,000円なので、上記票の一番上に該当します。
「所 得税額」=1,025,000円×5%(0.05)-0円
51,250円

赤⑰ をそのまま転記します。※住宅ローン控除などがある場合は、 から引いた金額をこの欄に記入。

住宅ローン控除については、こちらの記事に詳しく書かせていただきましたので、該当する方は合わせてご参照ください。

第一回:確定申告:住宅借入金等特別控除額の計算明細書の書き方と記入例
第二回:住宅ローン控除(減税)初年度の確定申告書の書き方と記入例を徹底解説

赤⑱ ⑰をそのまま転記します。※災害減免額がある場合はから引いた金額をこの欄に記入。

 復興特別所得税額を計算します。に0.021をかけた金額を記入します。※1円未満の端数は切り捨て。

「記入例」

51,250円×0.021=1,076.25円
1円未満の端数は切り捨てで、1,076円

赤⑳ ⑱を足した金額を記入します。

「記入例」

51,250円+1,076=52,326円

赤㉑ 源泉徴収税額の合計を記入します。第二表の赤③から転記してください。

続いて、からを引きます。

「記入例」

77,000円-52,326=24,674円

ここで計算した金額がマイナスになった場合は、追加で税金を納める必要があり、にその金額を記入します。プラスになった場合は、還付金が戻ってくるので、にその金額を記入しましょう。

「記入例」

プラスになったので、赤㉓に24,674円と記入。

24,674円が還付金として戻ってきます!

赤㉔  公的年金等以外の所得の合計を記入します。今回の記入例では、 公的年金等以外の所得 は個人年金だけなのでをそのまま転記します。

赤㉕  配偶者の合計所得金額を記入します。

赤㉖ 雑所得・一時所得の源泉徴収税額の合計を記入します。

赤㉗ 還付金の振込み先口座を記入します。

添付書類の確認

【提出が必要な書類一覧】

  • 確定申告書(第一表・第二表)
  • 生命保険の控除額証明書(原本)
  • 地震保険の控除額証明書(原本)
  • マイナンバー通知カードのコピー、またはマイナンバーカードのコピー
  • 運転免許証などの本人確認書類のコピー 
    ※マイナンバーカードのコピーを添付する場合は必要ありません。

ここでご紹介しているのは、当記事の記入例設定で必要な添付書類となります。状況が異なる場合は、次章でご紹介する「税務署の電話相談センター」にて添付書類のご確認をお願いいたします。

おわりに

書き方がわからないときの対処法

人それぞれ状況が違うので、当記事の記入例だけではわからない部分も出てくるかと思います。その場合は、税務署の電話相談センターで聞くのが一番早いです。

国税庁:税についての相談窓口

確定申告の書き方でお困りの方は、ケース別に確定申告記入例をまとめた、こちらの記事も是非参考にしてみてください。
↓ ↓ ↓ 
2024(令和5年分)確定申告書類の書き方・記入例ケース別徹底解説!

それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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