【法改正】令和4年4月スタート!毎年年金が増える在職定時改定を徹底解説

年金

この記事では、令和4年4月から導入される厚生年金の在職定時改定について詳しく解説します。65歳以降も働く年金受給者にとってメリットある制度ですので是非ご一読下さい。

また、在職定時改定が始まると対象者の年金額は1年に1度増えます。そこで、1年間働くと年金額がどのくらい増えるのか?簡単に計算する方法をご紹介しますので参考にしてみて下さい。

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在職定時改定とは?

令和4年4月に導入される在職定時改定とは、65歳以上の老齢厚生年金受給者について、在職中であっても、毎年10月に年金額を改定し、それまでに収めた保険料を年金額に反映する制度です。

というのもこれまでは、65歳以降働いて厚生年金保険料を納めていても、退職または70歳到達するまで、納めた保険料は年金額に反映されませんでした。つまり、保険料を支払っても、年金が増えるのは 退職または70歳到達後でした。

今回の在職定時改定の導入で、 退職または70歳到達 を待つことなく、毎年1回 10月に、収めた保険料が反映され年金額が増えるようになります。

厚生労働省ホームページより引用


もう少し具体的に見ると、下記画像のように毎年9~8月に支払った保険料分が10月分から上乗せされて年金額が改定されます。


では、どのくらい年金額が増えるのでしょうか?上記で解説したように、在職定時改定は1年に1度年金額が増える仕組みなので、1年間働くといくら増えるのか?みてみましょう。

1年間働くと、年金額はいくら増える?

増える年金額は、厚生年金への加入月数が480ヶ月(40年)以上か未満かで変わってくるので分けて解説します。該当する方をご覧ください。

厚生年金への加入月数480ヶ月(40年)以上の人

厚生年金への加入期間が40年(480ヶ月)以上の人は、老齢厚生年金の報酬比例部分のみ増えます。

報酬比例部分は、ざっくりですが年収に対して0.5%程度、年金額が増えます。

例えば年収200万円の場合、
200万円×0.5%=10,000円       年間約10,000円増えます。

※もちろん正確に計算すると多少の誤差はありますが、簡単に計算できますし非常にわかりやすいので【年収に対して0.5%程度年金額が増える】覚えておくのがおすすめです。

ちなみに、月収で考えても同じです。例えば月収20万円の場合、20万円×0.5%=1,000円。1ヶ月あたり約1,000円年金額が増えます。

厚生年金への加入月数が480ヶ月(40年)未満の人

厚生年金への加入期間が40年(480ヶ月)未満の人は、老齢厚生年金の報酬比例部分+経過的加算が増えます。報酬比例部分と経過的加算をそれぞれ計算し、合計した金額が増える年金額です。

報酬比例部分は、ざっくりですが年収に対して0.5%年金額が増えます。(詳しくは上の「厚生年金への加入期間が40年以上の人」を参照ください。)

経過的加算は、こちらもざっくりですが約1,600円×「65歳以降に働いた月数」で計算できます。但し、「今までの厚生年金の加入月数」と 「65歳以降に働いた月数」 を足して480ヶ月が上限です。

少しわかりずらいので具体的に計算してみましょう。

(例1) 65歳以降に1年間(12か月)、年収200万円で働いた場合

今までの厚生年金の加入月数は468ヶ月。

報酬比例部分
200万円×0.5%=10,000円       
年間約10,000円増える。

経過的加算
468ヶ月+12ヶ月=480ヶ月
上限の480か月以内なので、1,600円×12ヶ月=19,200円。
経過的加算は約19,200円増える。

合計(報酬比例部分+経過的加算)
10,000円+19,200円=29,200円
年金額は年間約29,200円増える。

(例2)5歳以降に3年(36ヶ月)、年収200万円で働いた場合

今までの厚生年金の加入月数は468ヶ月。

この場合、最初の1年目は(例1)と全く同じですが、2年目と3年目は厚生年金の加給月数が480ヶ月に到達するため、経過的加算は増えません。増えるのは報酬比例部分のみとなります。以下内訳です。

【1年目】
報酬比例部分
200万円×0.5%=10,000円       
年間約10,000円増える。

経過的加算
468ヶ月+12ヶ月=480ヶ月
上限の480か月以内なので、1,600円×12ヶ月=19,200円。
経過的加算は約19,200円増える。

合計(報酬比例部分+経過的加算)
10,000円+19,200円=29,200円
年金額は年間約29,200円増える。

【2年目・3年目】
報酬比例部分
200万円×0.5%=10,000円       
年間約10,000円増える。

経過的加算
厚生年金の加給月数が480ヶ月に到達したため、これ以上は増えない。

合計(報酬比例部分+経過的加算)
10,000円+0円=10,000円
年金額は年間約10,000円増える。

ちなみに3年間働いていくら増えるかというと、29.200円+10,000円+10,000円=49,200円増えます。

(例3)65歳以降に3年(36ヶ月)、年収200万円で働いた場合

今までの厚生年金の加入月数は420ヶ月。

この場合、厚生年金の加給月数は420ヶ月+36ヶ月=456ヶ月で480ヶ月以内なので、3年間全て経過的加算も増えます。

【1・2・3年目】
報酬比例部分
200万円×0.5%=10,000円       
年間約10,000円増える。

経過的加算
1,600円×12ヶ月=19,200円。
経過的加算は約19,200円増える。

合計(報酬比例部分+経過的加算)
10,000円+19,200円=29,200円
年金額は年間約29,200円増える。

3年間だと 29,200円×3年間=87,600円 増えます。

お疲れ様でした。これで「在職定時改定」の解説は以上です。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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