執筆・監修:尾形社会保険労務士・FP事務所
失業したときに受給できる雇用保険の基本手当(失業手当)ですが、離職後、病気やケガ、妊娠、出産、育児、病人の看護や介護などが理由で、すぐに求職活動ができない場合は、失業手当の受給を保留しておくことができます。
そこで今回は、失業手当の受給期間延長について、受給期間を延長できる人の条件や期間、また、退職後に傷病手当金を受給する場合に抑えておくポイント(自己都合で退職した場合の給付制限など)をまとめてみましたので、良かったら参考にしみてください。
目次
失業手当の給期間の延長とは
病気やケガ、妊娠、出産、育児、病人の看護や介護などが理由で、すぐに働けない場合は、「失業の状態」と認められないため、失業したときに受給できる雇用保険の基本手当(失業手当)をもらうことができません。
「失業の状態」とは?
就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにも関わらず、仕事に就くことができない状態
失業手当には、「原則として離職日の翌日から1年間」という受給期間が設けられており、通常だと離職してから一年経つと失業手当の受給資格は消滅します。
しかし、働きたくても働くことができない正当な理由がある場合は、働ける状態になるまで失業手当の受給を保留しておくことができる「受給期間の延長」という制度があります。
では、次に受給期間が延長ができるケースを確認していきましょう。
受給期間が延長できるケースを確認
以下の場合に該当する人は「失業の状態」ではないため、失業手当を受給することはできませんが、受給期間を延長することができます。
- 病気やケガで、すぐに働くことができない場合
- 妊娠、出産、育児で、すぐに働くことができない場合
- 親族の看護や介護で、すぐに働くことができない場合
- 定年退職など60歳以上の人が退職した後にしばらく休養する場合
その他、働きたくても働けない理由が正当な場合は認められるケースもありますので、相談してみてください。
延長できる期間は?
失業手当の受給期間は、通常「離職した日の翌日から1年間」で、この期間中に失業手当を「もらいきる」必要がありますが、病気やケガ、妊娠、出産、育児などが理由で、引き続き30日以上働くことができないときは、その働くことのできなくなった日数分の受給期間を延長することができます。
但し、延長できる期間は最長3年間です。(定年退職など60歳以上の離職の場合は最長1年間となります。)
まとめると、通常1年間+延長3年間=最長4年間延長することができます。(※失業手当の給付日数が多くなるわけではありませんので注意してくださいね。)
この4年間の間に仕事に就ける状態になれば、失業の認定を受けて失業手当をもらうことができます。
退職後に傷病手当金を受給する場合
病気やケガで医師から「労務不能」と診断され、退職後も引き続き傷病手当金を受給する場合(もしくは、退職後から受給する場合)、傷病手当金をもらいながら失業手当を受給することはできません。
傷病手当金は最長で1年6ヶ月受給することができますが、退職後、傷病手当金を1年以上もらうと、失業手当の受給期間(通常の1年間)が終了してしまいます。
そこで、病気やケガの回復が長引いたときのことを考え、失業手当の「受給期間延長」をしておけば、傷病手当金の受給期間終了後に、(病気が回復して仕事に就ける状態であれば)失業手当の受給を開始することができます。
病気が治って傷病手当金の支給がストップしても、次に雇用保険から求職活動中の生活費が支給される仕組みになっています。
離職理由が「自己都合」の場合、給付制限(2ヶ月)はどうなるの?
傷病手当金を受給していた方は、離職理由が「自己都合」であっても、給付制限(2ヶ月)なしで失業手当を受給することができます。
但し、医師の「(週20時間以上)働けるようになりました。」という証明書が必要です。
また、失業手当は、その証明書に記載されている日付から1年以内に「もらいきる」というスケジュールになります。
失業手当「受給期間の延長」手続き方法
それでは、失業手当の受給期間延長の手続き方法を確認していきましょう。
どこで?
住所地を管轄するハローワークで手続きをすることができます。手続きは代理人や郵送でも可能です。
いつから?
受給期間の延長手続きは、離職した日から仕事に就くことができない状態のまま30日が経過→その翌日から申請が可能です。
いつまで?
上記の申請可能日から「延長後の受給期間の最後の日まで」に手続きが必要です。
ただし、申請が遅れると受給期間を延長しても給付日数の全てを受給できない場合がありますので、申請可能日を過ぎたら早めに申請するようにしてください。
必要なもの
- 受給期間延長申請書
- 離職票(1)
- 離職票(2)
- 認印
- 各種証明書(医師の診断書、傷病手当金支給申請書コピー等)
-
終わりに
今回、失業手当の受給期間延長手続きについて、ハローワークへ問い合わせて確認しましたが、自己都合で退職した人でも、失業手当の受給期間を延長した場合、正当な理由が証明できれば「給付制限2ヶ月なし(待機期間7日は必要)」で、受給開始できるそうです。
気になる方はハローワークの窓口で相談してみてください。
それでは、今日も最後までお読みいただきありがとうございました。