この記事では、「共働き夫婦の妻」が書く年末調整書類の書き方と記入例をご紹介させていただきます。今年(令和5年)の年末調整で必要な全書類の書き方・記入例を掲載しておりますので是非ご活用ください。
また、多くの方が迷われている妻名義の「生命保険料控除」についても、夫側・妻側どちらの年末調整で申請するべきか?解説していますので、よかったら参考にしてみてください。
(当記事の記入例設定)
年末調整を行うのは、夫婦共働きの妻で、妻の収入は会社からの給与収入500万のみ。世帯主は夫で、子供は夫の扶養に入れている。
目次
年末調整書類の確認
まずは、今年の年末調整書類を確認しておきましょう。
お勤めの会社によって、若干違うのですが次の4枚の年末調整書類が渡されていると思います。※会社によって3枚の場合は①③④。
①令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
②令和5年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
③令和5年分 給与所得者の保険料控除申告書
④令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
では、用紙ごとの書き方を1枚ずつご紹介させていただきます。
「扶養控除申告書」の書き方と記入例
今年(令和5年)の年末調整では、「令和5年分」と「令和6年分」2枚の扶養控除申告書を会社から渡されるケースが多いと思います。
令和5年分は、昨年(または入社時)書いているはずなので、既に記入済みかと思います。変更点がある場合は、修正して提出しましょう。特に修正点がない場合は、間違いがないか確認するだけでOKです。
令和5年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
共働き夫婦の妻の方は、下記画像赤枠内だけの記入でOKです。配偶者控除を受けるわけではないので、配偶者の情報も必要ありません。※子供を奥さんの扶養にする場合は、扶養親族欄に記入する必要があります。
氏名・フリガナ・生年月日・住所・個人番号(マイナンバー)・世帯主氏名・世帯主との続柄・配偶者の有無を書きましょう。※ただし、マイナンバー(個人番号)を記載するかしないかは会社により方針が異なるため、お勤めの会社の指示に従ってください。
※青枠内は会社が記入する欄なので、空白でOKです。
令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
「令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」も令和5年分と記載内容は同じでOKです。
「保険料控除申告書」の書き方と記入例
妻名義の生命保険は、夫・妻どっちで年末調整するべき?
妻名義の生命保険料について、夫側・妻側どちらで年末調整を行うべきなのでしょうか?当然ですが、両方ともで申請するのは重複となりNGです。
基本的には「保険契約者=保険料支払者」が原則なので妻名義の生命保険は妻側の年末調整で申請となりますが、「保険料を支払っているのが夫」ということを明らかにできれば夫側の年末調整での申請が可能です。国税局のホームページにもわかりやすい説明があるので心配な方は参考にしてみて下さい。→国税局
「令和5年分 給与所得者の保険料控除申告書」の書き方と記入例
「保険料控除申告書」は、自分の該当する項目がない場合、提出しなくてOKです。
ただ、会社によっては提出を求められるケースもあるようです。その場合は、下記画像赤枠内に名前・フリガナ・住所を記入し提出しておきましょう。
上記画像の青枠部分生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除を申請する場合は、次の記事を合わせてご参照ください。
青枠①:生命保険料控除
■年末調整、生命保険料控除申告書記入例と書き方。契約者名義が妻の場合は?
青枠②:地震保険料控除
■地震保険料控除の書き方と計算方法。年末調整・確定申告の記入例付き
青枠③:社会保険料控除
■年末調整:社会保険料控除の書き方と記入例。国民健康保険支払先は?
青枠④:小規模企業共済等掛金控除
■年末調整:小規模企業共済等掛金控除の書き方と記入例。iDeCo加入者は必見!
令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
最後に、この「令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書…」という長い名前の書類ですが、以下の3つがセットになった書類です。
- 基礎控除申告書
- 配偶者控除等申告書
- 所得金額調整控除申告書
この中で、当記事の対象である「共働き夫婦の妻」に関係あるのは、
- 基礎控除申告書
- 所得金額調整控除申告書
の2つですが、給与収入850万円以下の方は、基礎控除申告書のみの記入でOKです。
というのも、所得金額調整控除申告書は、給与収入850万円超の人で、かつ、次の4つのどれかに該当する人が対象だからです。
- あなた自身が特別障害者
- 同一生計配偶者が特別障害者
- 扶養親族が特別障害者
- 扶養親族が年齢23歳未満
そこでこの記事では、ほとんどの方が該当する「基礎控除申告書の書き方」に絞ってご説明させていただきます。
※上記の条件に該当する方は、所得金額調整控除申告書の書き方をまとめたこちらの記事を参考にしてみて下さい。ちなみに、子供が夫の扶養に入っているご家庭であっても、上記の条件に該当する子どもがいれば、夫婦双方とも所得金額調整控除が使えます!
基礎控除申告書の書き方と記入例
まずは、右上の赤枠内に氏名・フリガナ・住所を記入してください。
続いて、もう一つの赤枠内、「給与所得者の基礎控除申告書」を記入していきます。
収入金額(下記画像の青枠内)に、今年(令和5年1月~12月)の給与収入を記入します。
※ここで記入する給与収入はだいたいの金額でOKです。あまり神経質になる必要はありません。ここでは、自分の「基礎控除の額」を申告するのですが、所得2400万円以下の場合、基礎控除額は全員共通で48万円です。なので、ここで記入する給与収入が多少違っていてもあなたの基礎控除の額には影響はありません。但し、所得が2400万円を超えるという方は、基礎控除額が変わってくるので、正確に所得を計算するようにして下さい。
続いて所得金額を計算します。給与所得は次の表に当てはめて計算します。
※国税庁:令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の裏面より引用。
例えば今回の記入例では、給与収入が500万円で、下から3つ目に該当するので、
給与所得の金額
=①:5,000,000円÷4(千円未満切捨て)=1,250,000円
②:1,250,000円×3.2-440,000円
=3,560,000円
所得金額(下記画像青枠内)に3,560,000と記入。
続いて、今回は給与収入のみの設定なので、「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」をそのまま3,560,000と記入します。
最後に、「控除額の計算」です。「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」が356万円なので、900万円以下にチェックし、「区分Ⅰ」に該当するアルファベットAを、控除額である48万円を「基礎控除の額」に480,000と記入します。
これにて完成です。
おわりに
お疲れ様でした。以上が、「共働き夫婦の妻が書く年末調整書き方と記入例」となります。
年末調整の書き方でお困りの方は、ケース別に年末調整記入例をまとめた、こちらの記事も是非参考にしてみてください。
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。