この記事では、パート主婦・フリーターの方を対象に、住民税が年間でいくらかかるのか?また毎月の給与からはどのくらい天引きされてしまうのか?シュミレーションを行いました。
パート・アルバイト収入が
- 月収10万円の場合
- 月収12万円の場合
- 月収15万円の場合
でそれぞれ計算しましたので良かったら参考にしてみて下さい。
目次
住民税の仕組みを確認
最初に住民税の仕組みを簡単にご説明させていただきます。※金額だけを知りたい方は、次章からお読みください。
住民税には均等割と所得割の2つがある
住民税には均等割・所得割の2つがあり、この2つを足した合計が住民税です。
住民税=均等割+所得割
均等割とは
均等割は、一定の所得基準を超えた方全員に均等にかかります。例えば東京都世田谷区の場合は、一律5000円(特別区民税3,500円+都民税1,500円)です。所得基準と税額は自治体によって異なるため、「お住まいの市区町村名 住民税」で検索し確認してみて下さい。
所得割とは
所得割は、収入から各種控除を引いた課税所得に対し10%が課税されます。※ほとんどの市区町村で10%ですが、正確には若干異なる地域もあります。
(例)月収10万円の場合
課税所得
=年収120万(月収10万×12か月)-55万(給与所得控除)-43万(基礎控除)
=22万
22万×10%=22,000円
所得割は22,000円。
※本来はこの金額から「調整控除額」というものを引くのですが、ここでは割愛し記事後半にて詳しくご説明させていただきます。
住民税は後払いの税金なので注意!
住民税は後払いの税金で、沢山稼いだ年の翌年に(忘れたころに)納付書が届くので注意が必要です。前年の所得に対する住民税を、当年の6月から支払っていきます。
(例)令和4年度の住民税
令和3年1~12月の収入で納税額が決まり、令和4年6月~令和5年5月の間に支払う。
支払い方法は、特別徴収と普通徴収の2パターンあります。特別徴収は勤務先の給料から天引きで、1年分の住民税を12ヶ月で割った金額が毎月の給料から引かれます。普通徴収はお住まいの市区町村から届く納付書で年4回に分けて支払います。
それでは、実際に計算してみましょう。今回は、東京都世田谷区を例に、月収10万、12万、15万でそれぞれ住民税シュミレーションを行います。お住まいの自治体により均等割の所得基準・税金額に若干の違いがあるのでホームページ等でご確認ください。
月収10万円の場合、住民税はいくら?
住民税額は、月収ではなく年収ベースで計算されるので、今回は月収10万円×12ヶ月の年収120万円を想定し計算を行います。
※勤務先の社会保険には加入していない想定で計算を行います。社会保険に加入されている方は次章:月給12万円の計算例をご参照ください。
均等割
月収10万だとどの市区町村でも均等割の所得基準は超えているので、全員共通で均等割がかかります。
東京都世田谷区の場合、均等割額は一律5,000円です。
パート収入が月収10万円(年収で120万円)の場合、住民税:均等割は5,000円。
※東京都世田谷区の場合
所得割
続いて所得割を計算していきます。
①自分の課税所得を計算する
まずは給与収入を次の計算式に当てはめて給与所得を計算します。
給与収入120万円は上から2番目に該当するので、
120万円-55万円
=65万円(給与所得)
次に課税所得を計算します。
※ここでは全員共通の基礎控除のみで計算します。自分で国民健康保険・国民年金に加入している方は、支払った金額が全額控除になりますので、所得から引いてください。
課税所得=65万円(給与所得)-43万円(基礎控除)
=22万円
課税所得:22万円
②調整控除額を計算する
調整控除額は、①課税所得が200万以上か以下で計算方法が違います。今回は200万以下なので、次の計算方法で計算します。
以下のAとBのいずれか低い金額×5%=調整控除額
A:人的控除の差額の合計額
B:課税される金額 ※①の金額です。
Aがわかりずらいのですが、今回は基礎控除のみなので、所得税と住民税の基礎控除額の差になります。基礎控除額は所得税48万円、住民税43万円。よってAは5万円(48万円-43万円)。
Bは①課税所得なので22万円。AとBを比べて低い方のA:5万円に5%をかけて調整控除額を計算します。
5万円×5%
=50,000円×0.05
=2,500円
調整控除額:2,500円
③所得割を計算する
①課税所得に、住民税所得割の税率10%(全国一律)をかけて、②調整控除額を引きます。
22万円×10%-2,500円
=220,000円×0.1-2,500円
=22,000円-2500円
=19,500円
パート・アルバイト年収120万(月収10万)の場合、住民税:所得割は19500円。
【結論:パート・アルバイト年収120万(月収10万)の場合】
均等割:5,000円
所得割:19,500円
年間で合計24,500円の住民税がかかる。
給与天引き額:24,500円÷12か月で、1月あたり約2,042円。
月収12万円の場合、住民税はいくら?
住民税額は、月収ではなく年収ベースで計算されるので、今回は月収12万円×12ヶ月の年収144万円を想定し計算を行います。
※今回は勤務先の社会保険に加入している想定で計算を行います。社会保険に加入していない場合は、前章:月収10万円の計算例を参考にしてみて下さい。
均等割
月収12万だとどの市区町村でも均等割の所得基準は超えているので、全員共通で均等割がかかります。
東京都世田谷区の場合、均等割額は一律5,000円です。
パート収入が月収12万円(年収で144万円)の場合、住民税:均等割は5,000円。
※東京都世田谷区の場合
所得割
続いて所得割を計算していきます。
①自分の課税所得を計算する
まずは給与収入を次の計算式に当てはめて給与所得を計算します。
給与収入144万円は上から2番目に該当するので、
144万円-55万円
=89万円(給与所得)
次に課税所得を計算します。
※ここでは全員共通の基礎控除・社会保険料控除のみで計算します。(社会保険料は18,000円/月×12か月で216,000円として計算。)社会保険料の正確な計算方法については、こちらの記事に詳しくまとめましたので合わせてご参照ください。
■社会保険料を計算:パート主婦や学生アルバイトで月収10~15万の場合
課税所得=89万円(給与所得)-43万円(基礎控除)-216,000円(社会保険料控除)
=244,000円
課税所得:224,000円
②調整控除額を計算する
調整控除額は、①課税所得が200万以上か以下で計算方法が違います。今回は200万以下なので、次の計算方法で計算します。
以下のAとBのいずれか低い金額×5%=調整控除額
A:人的控除の差額の合計額
B:課税される金額 ※①の金額です。
Aがわかりずらいのですが、今回の所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみです。社会保険料控除は人的控除の差額は発生しないので、基礎控除額の所得税と住民税の差がAになります。基礎控除額は所得税48万円、住民税43万円。よってAは5万円(48万円-43万円)。
Bは①課税所得なので224,000円。AとBを比べて低い方のA:5万円に5%をかけて調整控除額を計算します。
5万円×5%
=50,000円×0.05
=2,500円
調整控除額:2,500円
③所得割を計算する
①課税所得に、住民税所得割の税率10%(全国一律)をかけて、②調整控除額を引きます。
224,000万円×10%-2,500円
=224,000円×0.1-2,500円
=22,400円-2500円
=19,900円
パート・アルバイト年収144万(月収12万)の場合、住民税:所得割は19,900円。
【結論:パート・アルバイト年収144万(月収12万)の場合】
均等割:5,000円
所得割:19,900円
年間で合計24,900円の住民税がかかる。
給与天引き額:24,900円÷12か月で、1月あたり約2,075円。
月収15万円の場合、住民税はいくら?
住民税額は、月収ではなく年収ベースで計算されるので、今回は月収15万円×12ヶ月の年収180万円を想定し計算を行います。
※勤務先の社会保険に加入している想定で計算を行います。
均等割
月収15万だとどの市区町村でも均等割の所得基準は超えているので、全員共通で均等割がかかります。
東京都世田谷区の場合、均等割額は一律5,000円です。
パート収入が月収15万円(年収で180万円)の場合、住民税:均等割は5,000円。
※東京都世田谷区の場合
所得割
続いて所得割を計算していきます。
①自分の課税所得を計算する
まずは給与収入を次の計算式に当てはめて給与所得を計算します。
給与収入180万円は下から4番目に該当するので、
180万円÷4=45万円
45万円×2.8-80,000円
=1,180,000円(給与所得)
次に課税所得を計算します。
※ここでは全員共通の基礎控除・社会保険料控除のみで計算します。(社会保険料は22,000円/月×12か月で264,000円として計算。)社会保険料の正確な計算方法については、こちらの記事に詳しくまとめましたので合わせてご参照ください。
■社会保険料を計算:パート主婦や学生アルバイトで月収10~15万の場合
課税所得=118万円(給与所得)-43万円(基礎控除)-264,000円(社会保険料控除)
=486,000円
課税所得:486,000円
②調整控除額を計算する
調整控除額は、①課税所得が200万以上か以下で計算方法が違います。今回は200万以下なので、次の計算方法で計算します。
以下のAとBのいずれか低い金額×5%=調整控除額
A:人的控除の差額の合計額
B:課税される金額 ※①の金額です。
Aがわかりずらいのですが、今回の所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみです。社会保険料控除は人的控除の差額は発生しないので、基礎控除額の所得税と住民税の差がAになります。基礎控除額は所得税48万円、住民税43万円。よってAは5万円(48万円-43万円)。
Bは①課税所得なので486,000円。AとBを比べて低い方のA:5万円に5%をかけて調整控除額を計算します。
5万円×5%
=50,000円×0.05
=2,500円
調整控除額:2,500円
③所得割を計算する
①課税所得に、住民税所得割の税率10%(全国一律)をかけて、②調整控除額を引きます。
486,000万円×10%-2,500円
=486,000円×0.1-2,500円
=48,600円-2500円
=46,100円
パート・アルバイト年収180万(月収15万)の場合、住民税:所得割は46,100円。
【結論:パート・アルバイト年収180万(月収15万)の場合】
均等割:5,000円
所得割:46,100円
年間で合計51,100円の住民税がかかる。
給与天引き額:51,100円÷12か月で、1月あたり約4,259円。
おわりに
お疲れ様でした、以上が月収10万、12万、15万の住民税計算例となります。
月収10~15万円で手取りがいくらになるのか?気になる方はこちらの記事も読んでみてください。
■手取り金額を計算:パート主婦やフリーターで月収10~15万の場合
また、同じくパート・アルバイトで月収10~15万円の方の社会保険料と所得税の計算方法については、こちらの記事に詳しくまとめましたので興味のある方は参考にしてみて下さい。
■社会保険料を計算:パート主婦や学生アルバイトで月収10~15万の場合
■所得税を計算:パート主婦やフリーターで月収10~15万の場合
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。