この記事では、会社を退職される方に向けて「退職時と退職後に支払う住民税」について詳しくご紹介します。「退職時」と言うのは最後の給与から天引きされてる住民税のことで、「退職後」は文字通り退職後に支払わなければならない住民税です。
住民税は前年の所得にかかる「後払いの税金」なので、退職後の負担が予想以上に大きいです。退職後の生活を計画通り過ごすためにも、今後支払わなくてはいけない住民税額を早い段階で把握しておきましょう。
※この記事は退職時にまだ再就職が決まっていない方を対象に書いています。既に転職先が決まっている場合は、転職先への特別徴収(給与からの天引き)の引継ぎも可能です。退職前に給与担当者に相談してみましょう。
目次
住民税の仕組みを確認
まずは「住民税の仕組み」の確認です。冒頭にも書いたように、住民税は「後払いの税金」です。
住民税は、前年の所得で税額決まり、6月~翌年5月までの期間で支払う。
例えば今年(令和3年度)の住民税額は、令和2年(1~12月)の所得で決まり、令和3年6月~令和4年5月までの期間で支払う。という仕組みになっています。
仮に令和3年12月で会社を辞める場合を想定してみて下さい。今年(令和3年1~12月)の所得分を来年(令和4年)の6月から支払うことになります。もし来年6月まで再就職できていなかったら、無職なのに在職中の所得に対する住民税を支払わなくてはなりません。これはかなりキツイですよね。
住民税の徴収方法
住民税の徴収方法は、次の2つです。
- 特別徴収:会社の給与から天引き。
- 普通徴収:市区町村から送られてくる納付書で支払う。
会社員は、給与天引きの「特別徴収」から、会社を退職すると納付書で支払う「普通徴収」に切り替わります。
退職時に給与から引かれる住民税
退職時に給与から引かれる住民税額は、何月に退職するか?で次の2つに分かれます。
1~5月に退職する場合
1~5月に退職する場合は、退職月~5月分までの住民税を、まとめて最後の給与から徴収されます。これを一括徴収といます。
住民税は6月~翌年5月までが1年度なので5月までを一括で支払ってしまうわけです。但し、給与から一括で引き切れないときは普通徴収となり、後日市区町村から送られてくる納付書で支払います。
(例:2月に退職する場合)
最後の給与や退職金から4ヶ月分(2.3.4.5月)の住民税が引かれます。
6~12月に退職する場合
6~12月に退職する場合は、翌年5月までの住民税額を一括か分割か自分で選択できます。
一括で支払う場合は、最後の給与や退職金から今年分の住民税残額すべてを天引き。分割で支払う場合は、退職月分の住民税のみ最後の給与から天引きされ、残りは普通徴収となり納付書が自宅に届くのでそれで支払います。
次に、負担が最も大きい「退職後に支払う住民税」についてみていきましょう。
退職後に支払う住民税
これも退職した月により変わるので2つに分けてご説明させていただきます。ご自身の該当する方をご参照ください。
1~5月に退職する場合
1~5月に退職する場合は、退職時に昨年分(退職月~5月分まで)の住民税を、給与から全額引かれるので、退職後に支払うのは「今年分の住民税1年分」です。
会社員の方の場合、1年で年収が大きく変わることはそう多くないと思うので、住民税も去年の金額が目安になると思います。ざっくりした計算ですが、給与明細に記載されている住民税額×12ヶ月で、ある程度「今年の住民税(1年分)」を把握できると思うので計算してみて下さい。
普通徴収なので支払いは年4回払いです。会社の給与天引き(特別徴収)よりも1回に支払う金額が大きくなるのでご注意ください。
6~12月に退職する場合
6~12月に退職する場合は、退職月までの住民税は給与から引かれているので、その分支払い額は少なくなります。
例えば、7月末に退職した場合、7月までの分は給与から引かれているので、8月~翌年5月分までの残り10ヶ月分の住民税を退職後に支払います。この場合、ざっくりした計算ですが給与明細に記載されている住民税額×10ヶ月で、おおまかな金額は把握できます。
同様に、11月末に退職した場合、11月までの分は給与から引かれているので、12月~翌年5月分までの残り6ヶ月分の住民税を退職後に支払います。この場合も、給与明細に記載されている住民税額×6ヶ月でおおまかな金額は把握できるので、ご自分の退職月に当てはめて計算してみてください。
また、支払い回数は退職した月により異なりますが、会社の給与天引き(特別徴収)よりも1回に支払う金額が大きくなるのでご注意ください。
おわりに
お疲れ様でした。以上が「退職時に給与から引かれる住民税」と「退職後に支払う住民税」となります。
会社を退職時に必要な手続きをこちらの記事にまとめました。各種減免制度をうまく活用することで、退職後の税金、社会保険料を安く抑えることが出来ます。
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【1級FP監修】退職後の手続きと減免制度の活用:健康保険・年金・税金編
それでは、今日も最後までお読みいただきありがとうございました。