執筆・監修:尾形社会保険労務士・FP事務所
仕事を辞めた後に、夫や親の健康保険の扶養に入る人も多いと思いますが、雇用保険の失業給付を受給する場合は少し注意が必要です。
というのも、健康保険の扶養認定において、失業給付は収入としてカウントされるため、受給中は扶養に入ることができない場合があるからです。
そこで今回は、失業給付の受給中に「扶養に入れる人、入れない人の条件」や「扶養に入るタイミング」、「扶養から外れず、失業給付を受給して、ばれたときはどうなるのか?」についてまとめました。
目次
失業給付の受給中に扶養に入れる人、入れない人
離職して失業保険の手当を受給する場合は、扶養に〝入れる人〟と〝入れない人〟がいます。
その基準は、年収130万円未満か?それ以上か?で決まるのですが、失業給付の場合は「基本手当日額」の金額で決まります。
簡単に調べる方法は、「雇用保険受給資格者証」の↓「19.基本手当日額」で確認することができます。
扶養に入れる人
基本手当日額が3,612円未満 (60歳以上は5,000円未満) の場合は扶養に入ることができますので、失業保険の手当を受給中でも特に手続をする必要ありません。
扶養に入るときの手続き方法については、こちらの記事にまとめていますので、良かったら参考にしてみてください。
■健康保険:退職後、扶養に入る収入要件は?必要書類と手続方法も確認
扶養に入れない人
基本手当の日額が3,612円以上(60歳以上は5,000円以上)の場合、失業保険の手当を受給している間は扶養に入ることができないのでご注意ください。
扶養に入れない場合は、「失業保険VS扶養どちらが得か?」こちらの記事で計算しているので読んでみて下さい。
■失業保険と扶養どっちがお得?扶養に入るベストタイミングも紹介
扶養に入るとき、外れるときのタイミングを確認
先ほど解説したように、基本手当日額が3,612円以上 の場合、失業保険の手当を受給している間は扶養に入ることができません。
但し、失業給付には「給付制限がある人、ない人」がいますので、会社を辞めたあと、扶養に入るタイミングと外れるタイミングを確認してみましょう。
給付制限がない場合
離職後、国民健康保険(扶養に入るのが配偶者の場合は、国民年金の手続きも必要。)に加入し、失業手当受給終了後に扶養に入る。
給付制限がある場合
離職後、給付制限2ヶ月間(※3ヶ月間のケースもあります)は夫の扶養に入り、失業手当受給開始の際に扶養から外れ、国民健康保険 (扶養に入るのが配偶者の場合は、国民年金の手続きも必要。) に加入し、失業給付受給終了後に再び夫の扶養に入る。
給付制限がある場合は少し面倒ですが、給付制限中は国民健康保険料や年金を納めなくて済むので、手続きをしておいた方が経済的にはお得です。
問題は、夫の扶養に入ったまま、失業保険の手当を受給してしまった場合です。
次項で確認していきましょう。
バレるとどうなる?
もし、基本手当日額が3,612円以上なのに、扶養から外れず、失業保険の手当をもらっていたことがバレたらどうなるのか?
①国民健康保険料をさかのぼって納付する必要があります。
失業給付をもらいながら扶養に入っていた期間分の国民保険料を請求されます。
②国民年金をさかのぼって納付する必要があります。
失業給付をもらいながら扶養に入っていた期間分の国民年金を請求されます。
また、年金事務所で登録されている年金記録の修正が行われます。本来は扶養に入れない期間なので、第3号被保険者ではなく、第1号被保険者に情報が修正されます。
③病院でかかった費用の保険負担分(7割)の返金が必要です。
失業給付をもらいながら扶養に入っていた期間中に病院にかかっていた場合は、そのときの費用(保険負担分7割)の返金を求められます。(健康保険組合などから)
病院にかかった期間が長ければ、返金額も大きくなります。
④夫の会社に迷惑をかける
バレてまずいのは、本人だけではありません。会社は健康保険組合などから厳しく注意を受け、当然、夫も会社から注意を受けることになります。
本来は扶養手続きの際に、失業給付の有無を確認したり、雇用保険受給資格者証のコピーを確認するようになっているため、今回のようなケースは考えにくいですが、中小企業など手続きに詳しい人がいない場合は説明がない場合もありますので、注意してください。
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。