以前、出産で産休・育休中の配偶者(特別)控除:共働きなら申請しないと損!という記事にて、妻が産休・育休をとった場合の配偶者(特別)控除についてご紹介させていただきました。
そこで今回は、共働きご夫婦が産休・育休を取得した年の年末調整で、配偶者控除・配偶者特別控除を申請するときの書き方・記入例を作成しましたので良かったら参考にしてみて下さい。
※夫側の合計所得が1000万円を超えている場合は、配偶者控除・配偶者特別控除ともに受けることが出来ないのでご注意ください。
※当記事は妻が給与所得者(会社員・公務員・パート・アルバイトなど)という想定で書かせていただいております。
※また、申請するのはご主人側の年末調整です。妻側ではありませんのでご注意下さい。妻側の年末調整の書き方・記入例はこちらの記事にまとめましたので、良かった参考にしてみてください。
目次
配偶者控除・配偶者特別控除の適用条件を確認しよう
はじめに配偶者控除・配偶者特別控除の適用条件を確認しておきましょう。
ポイントは「今年の妻の給与収入」です。何月まで働いていたかで収入は変わってくると思うので、まずは下記表で、ご自身が配偶者控除・配偶者特別控除を受けることができるのか?をご確認ください。
種類 | 条件(妻の年収) |
---|---|
配偶者控除 | 給与年収103万以内 |
配偶者特別控除 | 給与年収103万~201万6000円未満 |
配偶者(妻)が産休・育休をとった年の年末調整書類の書き方と記入例
該当するのが確認できたら、実際に年末調整書類を書いていきましょう。配偶者控除・配偶者特別控除の申請は次の手順で行います。
①「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に妻・子供の情報を追加する。
②「令和3年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を記入する。
③「令和3年分 給与所得者の保険料控除申告書」を記入する。
④「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を記入する。
「令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に妻・子どもの情報を追加する。
「令和3年分 給与所得者の扶養控除申告書」は去年の年末調整時(今年入社した人は、入社時)に記入して会社に提出しているはずです。
去年書いたものが、今年の年末調整で戻ってきていると思うので、妻と今年生まれた子供の情報を追加します。※まだ子供が生まれていない場合は、子供の情報は書かなくてOKです。去年書いたものが戻ってこない場合は、会社の総務部に「修正したい」旨を伝え、返してもらいましょう。
申請者本人の合計所得金額が900万円以下か900万円超で書き方が異なるので分けてご紹介させていただきます。ご自身の該当する方をご参照ください。
合計所得金額が900万円以下の方
青枠は去年書いてあるはずです。
赤枠に妻の情報を記載するかどうかは、妻の今年の給与収入によります。
- 妻の合計所得金額が95万円以下(給与収入のみの場合は150万以下)
⇒ 妻の情報を追加。 - 妻の合計所得金額が95万円超(給与収入のみの場合は150万超)
⇒ 何も記載しない。
妻の給与収入が150万以下であれば、源泉控除対象者に該当するので、妻の情報を書き、150万を超えている場合は、源泉控除対象配偶者に該当しないので、ここには妻の情報は書きません。
緑枠に子供の情報を追加して下さい。※子供がまだ生まれていない場合は、子供の情報は書かなくてOKです。
所得の見積額とは?
「所得の見積額」について良くわからない。という場合はこちらの記事に詳しく書かせていただきましたので合わせてご参照下さい。
■年末調整:配偶者や扶養親族の「所得の見積額」の計算方法と書き方
合計所得金額が900万円を超えている方
合計所得金額が900万円を超えている場合は、この「扶養控除等(異動)申告書」に妻の情報は書きません。なので緑枠に子供の情報を追加してするだけでOKです。
また、子供がまだ生まれていない場合は、まだ書けないので追加項目はありません。去年記入したままの状態で提出してください。
「令和3年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を記入する。
この「令和3年分 給与所得者の基礎控除申告書…」という長い名前の書類は、以下の3つがセットになった書類です。
- 基礎控除申告書
- 配偶者控除等申告書
- 所得金額調整控除申告書
3つの書類が1つになっているので複雑そうに見えますが、1つ1つ確認していけばそれほど難しくありません。書き方・記入例については、下記でそれぞれご説明させていただきましたので、お手数ですがこちらをご参照ください。
■令和3年分 給与所得者の基礎控除申告書の書き方・記入例
■令和3年分 給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方・記入例
■令和3年分 所得金額調整控除申告書の書き方と記入例。対象者を確認!
「令和3年分 給与所得者の保険料控除申告書」を記入する。
続いて、「令和3年分 給与所得者の保険料控除申告書」の記入です。
黒枠:名前・フリガナ・住所を書きます。
赤枠:民間の生命保険等にご加入の場合は、こちらに記入します。記入例についてはこちらの記事に詳しくまとめましたので合わせてご参照下さい。
■年末調整、生命保険料控除申告書記入例と書き方。契約者名義が妻の場合は?
青枠:民間の地震保険にご加入の場合は、こちらに記入します。記入例についてはこちらの記事に詳しくまとめましたので合わせてご参照下さい。
■地震保険料控除の書き方と計算方法。年末調整・確定申告の記入例付き
緑枠:社会保険料控除はこちらに記入します。記入例についてはこちらの記事に詳しくまとめましたので合わせてご参照下さい。
■年末調整:社会保険料控除の書き方と記入例。国民健康保険支払先は?
オレンジ枠:iDeCo(確定拠出年金)などに加入している場合はこちらに記入します。記入例についてはこちらの記事に詳しくまとめましたので合わせてご参照下さい。
■年末調整:小規模企業共済等掛金控除の書き方と記入例。iDeCo加入者は必見!
「令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を記入する。
最後に、令和4年分の扶養控除等(異動)申告書を書きましょう。
この用紙は来年(令和4年)に使用するものなので、自分や妻、扶養親族の収入はあくまで予測で書いていきます。予測がずれても、来年の年末調整のときにまた修正できますのでそれほど心配しなくても大丈夫です。妻の所得の見積額についても、何月から職場復帰するかで変わってくると思いますので、だいたいの予測で問題ありません。
では実際に書いていきましょう。この用紙は、あなたの合計所得金額が900万円以下か900万円超かで書き方が異なるので分けてご紹介させていただきます。ご自身の該当する方をご参照ください。
合計所得金額が900万円以下の方
合計所得金額が900万円以下の場合、
- 妻の合計所得金額が95万円以下(給与収入のみの場合は150万以下)
⇒ 妻の情報を追加。 - 妻の合計所得金額が95万円超(給与収入のみの場合は150万超)
⇒ 何も記載しない。
妻の給与収入が150万以内であれば、源泉控除対象者に該当するので、妻の情報を書き、150万を超えている場合は、源泉控除対象配偶者に該当しないので、ここには妻の情報は書きません。
【記入例(妻の合計所得金額が95万円以下(給与収入のみの場合は150万以下))】
自分の情報を赤枠、妻の情報をピンク枠、16歳以上の扶養親族(子供や親など)を青枠、16歳未満の子供を緑枠に記入します。
所得の見積額とは?
「所得の見積額」について良くわからない。という場合はこちらの記事に詳しく書かせていただきましたので合わせてご参照下さい。
■年末調整:配偶者や扶養親族の「所得の見積額」の計算方法と書き方
【記入例(妻の合計所得金額が95万円超(給与収入のみの場合は150万超))】
自分の情報を赤枠、16歳以上の扶養親族(子供や親など)を青枠、16歳未満の子供を緑枠に記入します。
所得の見積額とは?
「所得の見積額」について良くわからない。という場合はこちらの記事に詳しく書かせていただきましたので合わせてご参照下さい。
■年末調整:配偶者や扶養親族の「所得の見積額」の計算方法と書き方
合計所得金額が900万円を超えている方
合計所得金額が900万円を超えている場合は、この用紙には妻の情報は書きません。※妻の収入が0円であっても書かないのでご注意ください。
自分の情報を赤枠、16歳以上の扶養親族(子供や親など)を青枠、16歳未満の子供を緑枠に記入します。
所得の見積額とは?
「所得の見積額」について良くわからない。という場合はこちらの記事に詳しく書かせていただきましたので合わせてご参照下さい。
■年末調整:配偶者や扶養親族の「所得の見積額」の計算方法と書き方
おわりに(医療費控除について)
配偶者が出産した年は医療費が例年より多くかかりますよね。家族全体の医療費が10万円を超える(所得200万円以下の場合は、所得の5%を超える)と、医療費控除を受けることができ、税金(所得税・住民税)を安くすることが出来ます。
医療費控除は年末調整では申請出来ないので確定申告が必要です。こちらの記事にまとめましたので是非ご活用下さい。
■確定申告:一番簡単な医療費控除の申請方法を画像付で徹底解説
それでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
年末調整の書き方でお困りの方は、ケース別に年末調整記入例をまとめた、こちらの記事も是非参考にしてみてください。